にいがた2km

新潟駅前などへの企業誘致は、中原八一市長が肝いりで進めてきた「にいがた2km(にきろ)」の施策の一環だ。1期目半ばの2020年、新潟駅-万代-古町を結ぶ都心軸を対象に、再整備や活性化に取り組む方針を発表した。

 開発を促す国の「都市再生緊急整備地域」の指定も受け、22年度にはオフィスビル建設や企業誘致を促進する補助金制度を新設・拡充。これを受けて4棟のビルが建設され、情報通信関連の52社が首都圏などから進出した。各社が29年までに見込む雇用数は計2千人以上に上る。

 中原市長がにいがた2kmのまちづくりの方向性を打ち出したのは、新潟駅のリニューアルを目前に控えていた頃。民間開発の兆しが見えた好機を逃さず、拠点性向上へ攻勢をかける狙いがあった。

 地域外からの投資を集めるこれまでの取り組みを振り返り、中原市長は「IT企業を中心としたビジネス拠点ができつつある。若者に魅力的な雇用の場にもなっている」と手応えを語る。万代広場や幹線道路など駅周辺整備への期待も相まって、今年7月の新潟駅前(東大通1の2)の基準地価は1平方メートル当たり64万2千円と、5年前から約10万円上昇した。

 ただ、こうした新陳代謝が進むのは新潟駅周辺が中心。同じ2kmエリアでも、古町地区では今年3月に営業終了した旧西堀ローサの再活用や旧新潟三越跡地の再開発がともに見通せず、かつてにぎわいを呼び込んだ街は空洞化したままだ。

 「にいがた2kmと言うが、こっちは効果が感じられない」とある商店街関係者。本町で衣料店を営む坂内由和さん=新潟中心商店街協同組合理事=は「特に三越の集客力は大きかった。現状としてはかなり厳しい」とこぼした。

都市再生緊急整備地域に指定後の新築ビルによる税収効果は、固定資産税と都市計画税を合わせて約2億5千万円。中原市長は都心部で生まれた成長エネルギーを市全体に波及させ「都市の活力向上と住民福祉の向上の好循環」をつくる青写真を描く。

 だがこの構想に、中央区以外の住民や市議からは「波及している実感はない」と批判的な声も上がっているのが実情だ。亀田商工会議所の栗田浩会頭は「市民の実感につながるのはこれから。一定の成果は上がっているのでは」とした上で、「新潟市のまちづくりに、各地域はどんな役割を担うのか。市としてもビジョンを持ってほしい」と注文する。

 地域経済が縮む人口減少時代。都心への投資を、周辺区も含めた「選ばれる新潟市」につなげられるか。合併地域の幹部職員の一人は「集中投資するなら得たものの分配もあってしかるべきだが、できていない」と指摘。「当初描いた政令市の理想に近づいているか振り返り、2kmの先にどんな未来を描くのか示さなければいけない」と投げかけた。

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